フリーランス向け 仕事を丁寧に断るメール術 5つのポイント
丁寧な断り方のテクニック

フリーランスとして活動していると、さまざまな仕事の依頼が舞い込みます。
しかし、すべての依頼を受けられるわけではありません。
時には、丁重にお断りする必要も出てきます。
上手な断り方を知らないと、相手に不快感を与えたり、今後の関係に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
この記事では、フリーランスが仕事を丁寧に断るためのメール術を、具体的な例文とともに解説します。
失礼なく、かつ良好な関係を維持しながら、上手に依頼を断る方法を身につけましょう。
フリーランスが依頼を断る際の心構え
仕事を断ることは、決して簡単なことではありません。
しかし、今後のビジネスを円滑に進めるためには、適切な断り方を身につけることが不可欠です。
ここでは、フリーランスが依頼を断る際に、まず心掛けておくべき3つのポイントを解説します。
断る理由を明確にする
なぜ依頼を断るのか、その理由を自分の中で明確にしておきましょう。
理由が曖昧なまま断ると、相手に不信感を与えたり、誤解を生んだりする可能性があります。
- スケジュール: 他の案件で手一杯なのか、それとも納期が厳しすぎるのか?
- スキル: 自分の専門分野やスキルセットと合致しないのか?
- 条件: 報酬や契約条件に折り合いがつかないのか?
理由を明確にすることで、自信を持って、かつ相手に納得してもらえる断り方ができるようになります。
今後の関係性を意識した断り方
フリーランスにとって、クライアントやパートナーとの良好な関係は非常に重要です。
一度断ったからといって、今後の関係が途絶えてしまうのは避けたいものです。
「今回はお引き受けできませんが、また機会があればぜひ」というように、将来的な協力の可能性を残すような断り方を心がけましょう。
感謝の気持ちを伝える重要性
依頼を断る場合でも、まずは依頼していただいたことへの感謝の気持ちを伝えることが大切です。
感謝の言葉を添えることで、相手に誠意が伝わり、良好な関係を維持しやすくなります。
「お声がけいただきありがとうございます」といった一言を添えるだけでも、印象は大きく変わります。
感謝の言葉の例
お声がけいただき、誠にありがとうございます。
この度は、貴重なご機会をいただき、心より感謝申し上げます。
ご期待に沿えず大変恐縮ではございますが、まずはご依頼いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
これらの心構えを踏まえた上で、次のセクションでは、具体的な状況別のメール例文を見ていきましょう。
状況別 仕事の依頼を丁寧に断るメール例文
フリーランスとして活動していると、様々な仕事の依頼が舞い込みます。
しかし、すべての依頼を受けられるわけではありません。
ここでは、状況別に適切な断り方と、具体的なメール例文をいくつかご紹介します。
これらの例文を参考に、ご自身の状況に合わせてアレンジしてみてください。
スケジュールが合わない場合
例文:スケジュールの都合がつかない場合
件名:Re: [プロジェクト名]の件について
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]へのお誘い、誠にありがとうございます。
大変魅力的なご提案なのですが、あいにく[具体的な理由、例:〇月〇日~〇月〇日まで]、既に別のプロジェクトが確定しており、お引き受けすることが難しい状況です。
せっかくお声がけいただいたのに、大変申し訳ございません。
また機会がございましたら、ぜひお声がけいただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
この例文は、具体的な期間を明示することで、曖昧さを排除し、相手に納得してもらいやすくする効果があります。
「既に別のプロジェクトが確定しており」という表現は、プロフェッショナルな印象を与えます。
例文:納期が希望に沿えない場合
件名:Re: [プロジェクト名]の件について
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]へのお誘い、誠にありがとうございます。
ご提案いただいた内容、大変興味深く拝見いたしました。
誠に恐縮ながら、[希望納期]までの納品が、現在の私のスケジュールでは難しい状況でございます。
もし、[調整可能な納期]までお待ちいただけるようでしたら、ぜひお引き受けさせていただきたく存じます。
ご希望に沿えず、大変申し訳ございませんが、ご検討いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
納期が合わない場合は、単に断るだけでなく、代替案を提示することで、今後の関係性を良好に保つことができます。
調整可能な納期を具体的に示すことがポイントです。
スキルや専門外の依頼の場合
例文:専門外の依頼を丁寧に断る
件名:Re: [プロジェクト名]の件について
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]へのお誘い、誠にありがとうございます。
ご提案いただいた内容、大変興味深く拝見いたしました。
誠に恐縮ながら、[依頼内容]は、私の専門分野([あなたの専門分野])とは異なるため、今回はお引き受けすることが難しい状況です。
せっかくお声がけいただいたのに、大変申し訳ございません。
もし、[あなたの専門分野]に関するご依頼がございましたら、ぜひお声がけいただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
自分の専門分野を明確に伝えることで、相手に誤解を与えず、今後の依頼につなげることができます。
例文:スキル不足で断る場合
件名:Re: [プロジェクト名]の件について
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]へのお誘い、誠にありがとうございます。
ご提案いただいた内容、大変興味深く拝見いたしました。
誠に恐縮ながら、[依頼内容]について、私のスキルではご期待に沿える成果を出すことが難しいと判断いたしました。
せっかくお声がけいただいたのに、力不足で大変申し訳ございません。
今後、[必要なスキル]を習得し、お役に立てるよう精進してまいります。
また機会がございましたら、ぜひお声がけいただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
正直にスキル不足を認め、今後の成長への意欲を示すことで、誠実な印象を与えます。
条件が合わない場合
例文:報酬が見合わない場合
件名:Re: [プロジェクト名]の件について
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]へのお誘い、誠にありがとうございます。
ご提案いただいた内容、大変興味深く拝見いたしました。
誠に恐縮ながら、ご提示いただいた[報酬額]では、今回のプロジェクトをお引き受けすることが難しい状況です。
もし、[希望報酬額]でご検討いただけるようでしたら、ぜひお引き受けさせていただきたく存じます。
ご希望に沿えず、大変申し訳ございませんが、ご検討いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
報酬額について、具体的な希望額を提示することで、交渉の余地を残します。
例文:契約条件が合わない場合
件名:Re: [プロジェクト名]の件について
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]へのお誘い、誠にありがとうございます。
ご提案いただいた内容、大変興味深く拝見いたしました。
誠に恐縮ながら、[契約条件の具体的な項目]について、当方の希望と合致しないため、今回はお引き受けすることが難しい状況です。
せっかくお声がけいただいたのに、大変申し訳ございません。
もし、[代替案や譲歩できる条件]をご検討いただけるようでしたら、ぜひお引き受けさせていただきたく存じます。
ご希望に沿えず、大変申し訳ございませんが、ご検討いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
契約条件のどの部分が合わないのかを具体的に示すことが重要です。
代替案を提示することで、交渉の可能性を残します。
他のプロジェクトで手一杯な場合
例文:多忙を理由に断る
件名:Re: [プロジェクト名]の件について
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]へのお誘い、誠にありがとうございます。
大変魅力的なご提案なのですが、あいにく現在、複数のプロジェクトを抱えており、[具体的な期間、例:〇月〇日まで]、新たな案件をお引き受けすることが難しい状況です。
せっかくお声がけいただいたのに、大変申し訳ございません。
[具体的な期間]以降でしたら、対応可能となる見込みです。
もしよろしければ、その頃に改めてご相談させていただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
具体的な期間を示すことで、相手にスケジュール感を伝え、今後の依頼につなげやすくします。
これらの例文はあくまで一例です。
状況に応じて、言葉遣いや内容を調整し、相手に失礼のない、そして良好な関係を維持できる断り方を心がけましょう。
次は、さらに踏み込んで、失礼にならない断り方の基本について解説します。
失礼にならないメールの断り方 3つの基本
ここからは、実際にフリーランスが仕事の依頼を断る際に、失礼にならないメールを作成するための、より具体的な3つの基本を見ていきましょう。
どんな状況でも、これらの基本を押さえておけば、相手に不快感を与えることなく、丁寧に断ることができます。
クッション言葉を効果的に使う
ビジネスメール、特に断りのメールでは、クッション言葉を効果的に使うことが重要です。
クッション言葉とは、直接的な表現を避けて、言葉の印象を柔らかくするための言葉です。
例えば、「できません」とストレートに伝えるのではなく、「せっかくお声がけいただいたのに、大変恐縮ですが」「あいにく」といったクッション言葉を文頭に加えることで、相手への配慮を示すことができます。
他にも、「〜かねます」「難しい状況です」などもよく使われます。
クッション言葉 使用例
せっかくお声がけいただいたのに、大変恐縮ですが、現在、他のプロジェクトが立て込んでおり、お引き受けすることが難しい状況です。
あいにく、その分野は専門外でして、ご期待に沿えるような成果を出すことが難しいと思われます。
クッション言葉は、文頭だけでなく、文末に「〜いただけますと幸いです」「〜ご理解いただけますようお願い申し上げます」といった形で使うこともできます。
代替案を提示する
もし可能であれば、代替案を提示することも、相手への配慮を示す上で非常に有効です。
例えば、自分は対応できないけれど、他のフリーランスを紹介したり、別の方法を提案したりすることで、相手の課題解決に貢献する姿勢を見せることができます。
代替案提示 例文1:他の人を紹介
件名:Re:[ご依頼いただいた件名]
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]の件でご依頼いただき、誠にありがとうございます。
大変恐縮ではございますが、現在、他のプロジェクトが立て込んでおり、[期日]までの対応が難しい状況でございます。
つきましては、もしよろしければ、私の友人で[専門分野]を専門としている[紹介する人の名前]さんをご紹介させていただけないでしょうか。
[紹介する人の名前]さんは、[紹介する人のスキルや実績]といった実績をお持ちで、[クライアント名]様のご要望にもお応えできるかと存じます。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
代替案提示 例文2:別のアプローチを提案
件名:Re:[ご依頼いただいた件名]
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]の件でご依頼いただき、誠にありがとうございます。
拝見いたしましたところ、[依頼内容]については、[別のアプローチ]という方法でも実現可能かと存じます。
もしよろしければ、[別のアプローチ]について、一度ご検討いただけますでしょうか。
ご希望でしたら、[別のアプローチ]について詳しい資料をお送りすることも可能です。
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
代替案を提示する際は、相手の状況やニーズを十分に理解した上で、本当に役立つ情報を提供することが大切です。
返信のタイミングとスピード
ビジネスメールでは、返信のタイミングとスピードも非常に重要です。
依頼を断る場合でも、できるだけ早く返信することで、相手に誠意を示すことができます。
理想は24時間以内、遅くとも48時間以内には返信するように心がけましょう。
もし、すぐに返信できない場合は、「確認いたしますので、少々お時間をいただけますでしょうか」といった形で、一旦返信しておくことをおすすめします。
返信が遅れる場合の例文
件名:Re:[ご依頼いただいた件名]
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度は、[プロジェクト名]の件でご依頼いただき、誠にありがとうございます。
恐れ入りますが、内容について確認させていただきたく、[期日]までお時間をいただけますでしょうか。
確認後、改めてご連絡させていただきます。
お待たせして申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。
返信が遅れること自体は問題ありませんが、その旨をきちんと伝えることが大切です。
角が立たない断り方で良好な関係を築く
ここまでは、失礼にならない断りメールの「基本」について解説しました。
次は、さらに踏み込んで、「角が立たない断り方で良好な関係を築く」ための具体的な方法について見ていきましょう。
上手な断り方というのは、単に依頼を辞退するだけでなく、その後の関係性にも配慮が必要です。
角を立てずに断り、良好な関係を維持、さらには発展させるためのポイントを解説します。
断り後のフォローアップ
依頼を断った後、そのまま放置するのは避けましょう。
状況が許すのであれば、簡単なフォローアップをすることで、相手への誠意を示すことができます。
例文:簡単な近況報告と共にお断りする場合
件名:Re: [依頼の件名]
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
先日は、[依頼内容]の件でご相談いただき、誠にありがとうございました。
検討させていただきましたが、[具体的な理由]のため、今回はお引き受けすることが難しい状況です。
せっかくお声がけいただいたのに、大変申し訳ございません。
[クライアント名]様のプロジェクトの成功を心よりお祈り申し上げます。
また、[クライアント名]様におかれましては、[最近のクライアントの活動やニュースなど]とのこと、おめでとうございます/素晴らしいですね。
今後とも、何かお役に立てることがございましたら、ぜひお声がけください。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
この例文のように、断りの連絡後、少し時間を置いてから、相手の近況に触れたり、簡単なメッセージを送ったりするのも良いでしょう。
「あの件では力になれずすみません。その後いかがですか?」といった一言があるだけで、相手への印象は大きく変わります。
将来的な協力の可能性を残す
今回は残念ながらお断りすることになったとしても、将来的に協力できる可能性は残しておきたいものです。
「今は難しいけれど、将来的にはぜひ」という姿勢を示すことが、良好な関係を築く上で非常に重要になります。
例文:将来的な協力を示唆する場合
件名:Re: [依頼の件名]
[クライアント名]様
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
先日は、[依頼内容]の件でご相談いただき、誠にありがとうございました。
検討させていただきましたが、[具体的な理由]のため、今回はお引き受けすることが難しい状況です。
せっかくお声がけいただいたのに、大変申し訳ございません。
ただ、[クライアントの依頼内容や専門分野]には大変興味があり、[将来的な時期や条件など]であれば、ぜひお手伝いさせていただきたいと考えております。
その際には、改めてご相談させていただけますと幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
この例文のように、「今回は難しい」という結論だけでなく、「将来的には協力したい」という意思表示を明確にすることがポイントです。
具体的な時期や条件などを提示することで、より現実味のある提案となり、相手にも好印象を与えられます。
これらのポイントを踏まえ、上手な断り方を実践することで、フリーランスとしての信頼を高め、より良いビジネスチャンスを掴むことができるでしょう。
フリーランスのメールでの上手な断り方 まとめ
ここまでのポイントを振り返ってみましょう。
- 断る理由を明確にし、感謝の気持ちを伝える。
- クッション言葉や代替案を提示し、返信は迅速に行う。
- 断った後もフォローアップを心掛け、将来的な協力の可能性を残す。
これらのポイントを踏まえ、まずは断りメールのテンプレートを作成してみるのがおすすめです。
自分なりの型を作っておけば、状況に応じて柔軟に対応できるようになります。
フリーランスとして働く上で、時には仕事を断ることも必要です。
しかし、上手な断り方を身につければ、それは決してマイナスにはなりません。
むしろ、誠実な対応は信頼に繋がり、次のチャンスを呼び込む力となるでしょう。